たのしいたのしい交流会
泥団子を手にした少年は目の前にいる男を倒す為の策を考えていた。 男は対象に手で触れることでその肉体を変形させる術式を持つ東京校の二年生。対する少年は泥団子の術式を持つ京都校の一年生。 術式の性能も経験も圧倒的に負けているこの状況で、どのようにして勝つか策を練っているのだ。
「君の術式は正面からぶつかるのにはあまり向いていないようだね。頭脳戦ならワンチャンあるんじゃないか?」
男は余裕の表情をしつつ、少年の術式について分析する。 少年は頬を伝う冷や汗を拭いながら、泥団子を強く握り締めた。 すると、突然男が血反吐を吐きながら下半身と上半身に分かれた。
「!?」
「あ、やっべ……ですわ」
取って付けたようなお嬢様言葉が聞こえてきた方を見ると、そこでは少年と同じ京都校の生徒が木の上で指パッチンを構えていた。
「な、なにしてんだアンターーーッ!?」
「うわ、わ、わざとやあらへんねーーーんッ!」
動揺して素が出てしまう二人だったが、男が立ち上がるのを見て警戒し始める。
「はは…はへっははは!!!驚いた?」
男は上半身から早送りにした植物の成長のように足をニョキニョキと生やし、何事もなかったかのように立ち上がる。
「あっちはあっちの奴らに任せて、俺たちは俺たちで楽しもうぜ?」